609096 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

葉月日記

葉月日記

「ウォーキング入門」 はじめに

※この文章は、2006年度 某区の消費生活通信講座のテキスト「ウォーキン
グ」~もっと気軽に運動してみよう~用に書いたものです。


「はじめに」

 昨年の「健康生活運動編」に引き続き、今年もこの講座のテキストを担当

させていただけることになりました。前回の講座では、添削とスクリーニン

グを通じて多くの受講者の方々と触れ合うことができ、さらには皆さんの健

康づくりへの関心の高さに、改めて感じ入りました。そして、若い方よりも

年配の方になればなるほど、独自の健康法をしっかりとお持ちになり、実行

されているという印象を受けました。健康法には、「よく歩くこと」や「ウ

ォーキング」を挙げていらっしゃる方も多く、「歩くこと」が健康法として

定着していることも、うかがえました。

 前回のテキストでは、ページの都合上、十分にお伝えできなかったと感じ

ていたのがこの「歩くこと」=「ウォーキング」でした。それを今回のテー

マとしていただけたことを、大変うれしく思っています。
  


 江戸時代の儒学者として有名な貝原益軒は、健康な暮らし方についての解

説書『養生訓』を記しています。これは益軒が自らの体験に基いて85歳で

亡くなる1年前(1713年)に出版したものですが、長寿を全うする為の

養生法が詳しく解説されています。『孟子』の「君子の三楽」にちなんで、

益軒は養生という観点から、三楽(人生の真の楽しみ)として次の3つを挙

げています。

1、道を行い、善を積むことを楽しむ

2、病にかかることのないのを快く楽しむ

3、長寿を全うする事を楽しむ。

 そのために益軒は、欲を抑え、医薬、食、運動、こころ等の養生に心が

け、体調をよく管理し、健康に留意しながら生活することで、生来体が虚弱

で生涯病弱ながらも85歳の人生を全うしました。

『養生訓』の中に、運動すること、歩くことの大切さを説いている箇所があ

ります。

「心は身の主也。しづかにして安からしむべし。身は心のやつこ(奴)なり。

うごかして労せしむべし。心やすくしづかなれば、天君ゆたかに、くるしみ

なくして楽しむ。身うごきて労すれば、飲食滞らず、血気めぐりて病な

し。」

「身体は日々少づつ労動すべし。久しく安坐すべからず。毎日飯後に、必ず

庭圃の内数百足しづかに歩行すべし。雨中には室屋の内を、幾度も徐行すべ

し。此如く日々朝晩運動すれば、針・灸を用ひずして、飲食・気血の滞なく

して病なし。針灸をして熱痛甚しき身の苦しみをこらえんより、かくの如く

せば痛なくして安楽なるべし。」

『養生訓』が、科学の発達した現代でも十分通ずることが多いのは、それが

病弱だった益軒自身の実践経験に基づいたものであり、メンタルヘルスや予

防医学的な観点からも健康を捉えており、偏りがなく、全面的な養生方法を

説いている点にあると思います。

 

 宮崎駿監督のアニメ映画「となりのトトロ」のオープニングテーマ曲「さ

んぽ」(久石譲作曲、中川李枝子作詞)は、私の大好きな歌です。 次のよ

うな歌詞です。

(1)歩こう 歩こう 私は元気 歩くの大好き どんどん行こう
 
  坂道 トンネル 草っ原 一本橋に でこぼこ砂利道 くもの巣くぐっ   
  て 下り道

(2)歩こう 歩こう 私は元気 歩くの大好き どんどん行こう
 
   蜂蜜ブンブン 花畑 ひなたにトカゲ 蛇は昼寝 バッタが跳んで曲

   がり道

(3)歩こう 歩こう 私は元気 歩くの大好き どんどん行こう
  
   狐も狸も 出ておいで 探検しよう 林の奥まで 友達たくさん 嬉

   しいな
  
   友達たくさん 嬉しいな

 
 この曲は、まさに歩くことの楽しさが、いっぱい詰まっている詩です。

「歩くこと」も、楽しく行うことが大切ですね。私はこの歌を、よく口ずさ

みながら歩いています。少し元気がない時でもこの曲を歌うとリズムも良

く、元気が出てきて、自然に脚が前に進みます。

 
 できるなら歩かないで済ませたい、歩くのは嫌いだという方もいらっしゃ

るかも知れません。そのような方も、この講座をきっかけに歩くことに興味

を持ち、少しでも好きになっていただけたら幸いです。私の三楽(人生の

楽しみ)のひとつには、「散歩」を入れたいと思っていますが、ご一緒にい

かがでしょうか。





© Rakuten Group, Inc.